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世界中どこからでも建機を操縦できる時代へ
施工現場、操作卓の両端に低軌道衛星通信回線を用い、8000km離れた場所からの建機操縦に世界で初めて成功

ハイテクインター株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 旦尾紀人、以下ハイテクインター)、株式会社ジツタ中国(本社:広島県広島市、代表取締役社長 實田泰之、以下 ジツタ中国)、国立研究開発法人土木研究所(所在地:茨城県つくば市、理事長 藤田光一、以下 土木研究所)は、通信装置として施工現場および操縦卓の両端に低軌道衛星通信端末(Starlink Mini)を用い、8000km離れた遠隔地からの建機操縦に世界で初めて成功しました。

1.背景・目的

建設業界では、パンデミック以降、日本のみならず欧米含め世界各国で建設労働者の不足が課題になっています*1,2,3。このため、作業員や熟練者不足へ対応するために建設現場の自動化・遠隔化による省人化が重要になります。特に山間部や災害現場など、通信インフラの整備が困難な地域では、比較的手軽に設置が可能なStarlink*4などの低軌道衛星通信回線の利用が期待されています。しかしながら、このような通信回線を用いて遠隔施工を行う場合、通信回線の帯域の制約や安定性、映像コーデックの遅延が遠隔施工の効率に大きく影響します。これまでこのような通信回線でハイビジョンクラスのカメラ映像を複数チャネル伝送するとパケットロスなどの影響で映像品質が大きく劣化することが確認されています。
このため、このような課題を解決するためにハイテクインターでは「BAERT®」(Bandwidth Adaptive and Error Resilient video Transmission)技術*5を開発し、伝送エラーがある環境でも低遅延でネットワークの帯域以内で最大限高品質な映像を超低遅延で伝送することが可能になりました。2025年6月にはこの技術を利用して建機2台に搭載した8台のカメラ映像と2台の俯瞰カメラ映像の合計10台のハイビジョンカメラ映像を1台のStarlink Miniで伝送し900km離れた場所から2台の建機の操縦に成功しました*5
今回、ネットワークの帯域がダイナミックに変動するような環境でも最適な映像符号化制御を行う方式を新たに研究開発し、建機に搭載した4台のハイビジョンカメラ映像と1台の俯瞰映像をStarlink Mini で伝送し、約8000km離れた操縦卓に設置されたStarlink Miniで受け、建機の超遠隔操縦に世界ではじめて成功しました*6。Starlink Miniは持ち運びも設置も容易なため、本技術により例えば日本から世界中どのような遠隔地にある施工現場でも建機の遠隔施工ができるようになります。

2.技術的な課題への取り組み

ハイテクインターでは、これまで超低遅延伝送が可能で「BAERT」技術により伝送エラーがある環境でもネットワークの帯域以内で最大限高品質な映像を伝送することが可能な4Kビデオエンコーダ/デコーダ「LLC-4000」*7を製品化しました。また、ジツタ中国では、LLC-4000をベースにしてフルハイビジョンカメラ4台を同時にエンコードできる「LVRC-4000」*8を製品化しました。
 今回さらにネットワーク帯域がダイナミックに変動する場合も最適な映像符号化制御を行う方式を開発し、これまでのBAERT技術と統合しBAERT® 2.0としてビデオエンコーダLVRC-4000に実装しました。
 インターネット回線を用いて映像伝送により建機を遠隔制御する場合、超低遅延で圧縮伝送して操作に違和感を与えないことに加えて、①帯域を超えないように映像の符号化レートを制御する、②パケットロスがあるような回線でもエラー対策を行って映像品質を維持する機能が必須になり、これらはBAERT技術として実現しています。今回新たに開発した符号化制御方式は、ネットワークの帯域が上下に変動してもその兆候を検出して最適な符号化レートで映像を圧縮伝送するものです。これにより、例えばネットワークが混雑し帯域が急低下した場合でもその帯域に最適な符号化制御を行うことにより再生画像が停止したり、劣化したりすることなく伝送することができます。逆にネットワークの帯域に余裕が出てきたときには帯域に合わせて画質を上げることができます。

世界中どこからでも建機を操縦できる時代へ 施工現場、操作卓の両端に低軌道衛星通信回線を用い、8000km離れた場所からの建機操縦に世界で初めて成功
図1 ネットワークの帯域変動への対応

3.実証実験の概要

実証実験はつくば建設DX実験フィールドにおいて建機1台に4台のハイビジョンカメラを搭載し、「LVRC-4000」でこれらの映像を圧縮し、さらに現場を俯瞰するためのハイビジョンカメラ1台(高圧縮映像伝送カメラ「HIC-SP200TX32A」*9)を設置し、合計5台のカメラ映像を、Starlink Mini 1台で伝送し、インターネットを介して約8000km離れたオーストラリア シドニー郊外の実験場に設置したStarlink Mini 1台で受信し、映像と建機の制御信号の伝送を行いました。シドニー郊外の実験場では建機の映像、俯瞰カメラ映像およびマシンガイダンス情報を元に、オペレータが国内での遠隔操縦と違和感なく建機を操縦し、超遠隔地からも1台のStarlink Miniを用いて効率的かつ低コストに建機を操縦できることが確認できました。

世界中どこからでも建機を操縦できる時代へ 施工現場、操作卓の両端に低軌道衛星通信回線を用い、8000km離れた場所からの建機操縦に世界で初めて成功
図2 実証実験構成
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図3 実証実験の様子
(1) つくば建設DX実験フィールド
図3 実証実験の様子
(2) シドニーの遠隔操縦卓
図4 4ch ビデオエンコーダ「LVRC-4000」 図5 日豪間距離

4.今後の展開

今回、8000km離れた超遠隔地からでも、迅速に通信装置や映像伝送装置を設置して建機の遠隔施工ができることを実証しました。今後は国内外の施工現場での実証や、遠隔施工に必要な機器の設置調整や運用のさらなる効率化や高度化により、現場におけるDX推進に貢献してまいります。

なお、本実証実験は、国土交通省SBIR(Small Business Innovation Research)建設技術研究開発助成制度の委託を受けて実施したものです*10。また、本実験の一部は,国立研究法人土木研究所,ハイテクインター株式会社,株式会社ジツタ中国,および株式会社中電工との共同研究(「自律施工技術基盤OPERAを利用した機械土工の生産性向上に関する共同研究」)として実施しました。

*1 国土交通省, 「i-Construction 2.0 ~建設現場のオートメーション化~」
*2 CIC Construction Group, “Half a Million Short: The Construction Workforce Crisis Reshaping Project Delivery”
*3 European Construction Industry Federation, “Shortage of labour in the construction industry”
*4 Space X, “Starlink”
*5 ハイテクインター, 「Starlink Miniを用いて900km遠隔地から10台のHDカメラ映像を伝送し、建機2台の同時操縦に成功」
*6 ハイテクインター調べ
*7 4K 低遅延/狭帯域対応 映像伝送装置 エンコーダ/デコーダ LLC-4000
*8 2Kx4ch(4Kx1ch)低遅延映像伝送装置 LVRC-4000
*9 光学32倍 スマートスピードドームカメラ「HIC-SP200TX32A」
*10 ハイテクインター, 「国土交通省 SBIR建設技術研究開発助成制度の技術開発課題【継続課題】として採択されました」

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